ヨーロッパでノマドや長期滞在をするにあたり、一番のネックは食事だと思います。
肉、小麦、乳製品が中心となるため、消化酵素的におそらく日本人の体質に合っていません。
しかもアルバニアについては以前の記事でも紹介した通り、外食はイタリア料理が70%を占めます。ピザやパスタのような食事が中心となるため、ただでさえ栄養バランスが偏りがちです。
自炊ができればまだマシだと思いますが、手に入る食材もバリエーションに乏しくアジア食材の入手はなおさら困難・・・。
その上、現代では添加物や農薬とも無縁ではいられません。こういった化学物質がどこまで体に悪いのかは諸説あるものの、少なくとも体に良いモノではないでしょう。
つまり海外ノマドと健康の両立はムリゲーではないか。そう考え始めていた時、私は見つけました。
「ここに来れば誰でも健康的な生活ができる!」と確信できる場所を(笑)
その名は「テス」。アルバニア北部のテス国立公園の中にある集落です。
一言でいえば、特に自然派ノマドにとって嬉しいポイントが盛りだくさんだったのです。
この記事ではテスが健康的な生活を送るための条件にいかに恵まれているか、また周辺の見どころなどについてご説明したいと思います。
アルバニアの秘境と呼ぶにふさわしい「テス」
テス(Theth)はアルバニア北部のテス国立公園の中にある集落。テスと言うより「セス」という発音の方が原音に近く、アルバニア人と話す際にも「セス」の方が通じます。
山岳地帯に囲まれており標高は850メートル。その人口はわずか400人弱。
周囲の山岳地帯は「アルバニアンアルプス」と呼ばれ、アルバニア、コソボ、モンテネグロの3ヶ国にまたがっています。
この山々はアルバニア語で“Bjeshket e Namuna”の異名を持ち、その直訳は「呪われた山」。由来に定説はないものの、ゴツゴツとした奇岩が織りなす姿を見れば、そう呼ばれるのもうなづけます。
伝承によればここのコミュニティは1人の共通の祖先を持っており、カトリックの信仰を守るために300~350年前にこの地にやってきたとのこと。
当時のアルバニアはイスラム教国であるオスマントルコの支配下にありました。
スーパーというか商店は中心部に1軒あるのみ。
「miniMARKET」という名前の通りかなり小規模ですが、ドリンクやお菓子類、日用品が売っています。
テスの“自然派”ノマド的おすすめポイント
意識せずに新鮮な自家製食材にありつける
第一に挙げられるのは、テスではほぼすべての食材を自家製でまかなわれているため、意識せずとも新鮮な食事を摂ることができるということ。
しかも、そもそも食事を提供しているレストランやカフェがほとんどないこともあり(おそらく数件)、基本的にゲストハウスでは食事を有料または無料でつけることができます。
私が宿泊している宿でも、豚、牛、鶏のすべてを飼育しておりトウモロコシやプラムも栽培していました。
自炊できない私のような旅人にとっては非常にありがたいものです。
集落を歩けば家畜を屠る光景に出くわすことも。
なかなか衝撃的な絵ではありますね。
しかし食べることの本質は他の生き物を頂くこと。自然とともに生きることの意味を思い起こさせてくれます。
良質なミネラルウォーターが飲み放題
テスには周辺の山を起源とする川が流れており、その水質が抜群にきれいなため、川水(山水)を汲んできて飲むことができます。
まさに加熱処理なしの天然のミネラルウォーター。ミネラルも豊富で化学物質による汚染度も低いと思われます。
海外では水道水が飲めない国も多いので、これは嬉しい。
しかし本来はどこにでもあったはずのミネラルウォーター。今や都会ではお金を出さないと手に入らなくなってしまったのは何とも皮肉なものですね…。
アルバニアの水道水について。
現地の方に聞いた限りでは、少なくとも北部の中心都市シュコドラ周辺では飲めるようです。首都ティラナや南部のヴローラではNGとのこと。
WIFI環境も心配無用
ノマドにとって重要なのがWIFI環境ですが、テスでは問題ありません。
実際、ウェブデザイナーで生計を立てているノマドワーカーも長期滞在していました。
気になる通信速度はスミマセン、測定し忘れました・・・ただ少なくとも私が宿泊していた宿では速度でストレスを抱えることはありませんでした。
ちなみにゲストハウスの雰囲気はこんな感じ。
ヨーロッパでは観光地としてそれなりに知られているようで、観光客も予想以上に多かったです。
私が行ったのは8月末でしたが、ヨーロッパからはもちろんのこと、アメリカ、ウクライナ、アルゼンチンなど世界各国から人が訪れていました。
大自然がすぐそこにある
何度も書いているように、テスの周囲は山岳地帯です。
どこを切り取っても絵になる大自然。
朝起きたときや仕事で一段落したとき、こんな絶景を見ながらリフレッシュすることができます。
また周辺に少し足を伸ばせば、よく知られる観光スポットも点在しています。
- ブルーアイ
- グルナスの滝
- バルボナへのロングトレッキング
ブルーアイ
もっとも有名なのはブルーアイという泉。
テスの中心部からは徒歩で片道3時間程度。途中まで(行程の約半分)は車でもアクセスでき、パーキングエリアにはカフェやレストランもあります。
またブルーアイ自体にも泉を上から見下ろせる場所にカフェがあります。
数年前のブログでは「秘境感」があると書かれていますが、私が訪れた2021年8月現在、観光客も多くなっており、すでに「 秘境 感」は過去のものとなっていました(笑)
しかしその美しさは健在。ターコイズブルーの深い青の泉は他ではなかなかお目にかかれません。
遊泳も禁止されていないので泳ぐこともできます。
が、真夏の8月ですら水は相当に冷たいです。私もトライしましたが水に浸かって数秒後には全身の感覚がマヒし痛みすら走るほど…十分にご注意を(笑)
冗談抜きに心臓が止まりそうな気配がしたのですぐに上がったのは良い思い出です
グルナスの滝
テスの南東3kmほどにあるグルナスの滝(Grunas Waterfall)も有名です。
周辺の山岳の山頂付近は一年中雪で覆われており、その雪解け水が流れ落ちています。滝の高さは30メートルあり、なかなかの迫力です。
バルボナへのトレッキング
テスの東8kmほどにはバルボナという集落があり、バルボナまではトレッキングコースとして知られています。(徒歩のみ可能。車での移動は不可)
なかなかの本格的な山道で、全行程7~8時間はかかります。
しかしその道中は絶景に次ぐ絶景の連続。「呪われた山」の異名を持つ岩山の大パノラマを存分に楽しむことができます。
山道ではあるもののそこまで険しいわけではないので、体力と時間のある方にはぜひおススメしたいです。途中にはカフェも数件あります。
ちなみにトレッキング終着点のバルボナの集落自体もかなりのド田舎。
バルボナからはコーマン湖のフェリーとバスを乗り継いてシュコドラまで戻ることができます。
地中海性気候+大陸性気候+山岳気候?
さて、ここまで自然派ノマド的におすすめポイントを説明してきましたが、長期滞在するとなると気になるのは気候かもしれません。
そこでWEATHER&CLIMATEのデータをもとに、テスと東京の気候について比較してみました。
テスの気候
東京の気候
東京と比べたときのテスの特徴をまとめると次のようになるでしょうか。
- 乾燥した夏と比較的雨の多い冬(地中海性気候)
- 日較差が10℃前後あり、東京より大きい(大陸性気候)
- 一年を通して月平均最低気温が0℃を下回ることがない
(意外!山岳地帯だけに冬はもっと冷え込むだろうと思っていたため) - 湿度が東京と同レベルの50%~80%と高い(ただし冬の方が高い点が東京と逆)
正直なところベストシーズンがいつかわからないですが、参考にして頂ければ幸いです。
データを見る限りでは一年を通して穏やかな気候だとは言えそうですが、気になるのは湿度の高い冬。
通常は湿度が高いと体感温度は高くなるものですが、気温が低く湿度が高い時に逆に寒さを感じる「湿気寒(しけさむ)」という現象があるためです。特に気温10 ℃前後で生じると言われます。
寒さに自信がない方は、グラフェン素材を使ったジャケットGRAnaRECが1着あるだけで格段に生活範囲が広がります。こちらのレビュー記事もご参照ください。
アクセスは容易【シュコドラから1時間強】
テスは大自然に囲まれている秘境でありながら、アルバニア北部の交通のハブとなっているシュコドラからバスで簡単にアクセスすることができます。
所要時間は1時間15分程度。1300レク。
何かあったときにも都市が近いというのは安心ですね。
私自身、今回テスには観光で二泊しただけでしたが、ノマドワーカーとして長期滞在してみたいと強く思った地でした。
外食ばかりの私は半年に一度でもこのような自然たっぷりの場所で体をリセットしにくるのもアリだなと。
一週間生活するだけで身も心も間違いなくデトックスできることでしょう。
これからも世界中でこのような場所を探していきたいと思っています。
コメント
コメント一覧 (2件)
今回も大作力作でしたね 読み応えたっぷりでしたよ。
テスの近くに滞在(沈没)中ですが寒くて完全に引きこもりモードです。
帰国されたのですね オミクロン株騒動で大変だったんじゃないですか ホテルに強制隔離とかされました?
いつもありがとうございます!いや~今回の記事も途中からノッて来て仕上げるの大変でしたよ・・・(笑)
意外にも入国手続きは1時間半程度でスムーズでした。今は14日間の自主隔離中です。
テスの近くにいらっしゃるのですね。冬のテス、もし行くことがあれば感想を教えてください。記事に反映いたします(笑)